ものすごく寒い土曜日。夕方、酒の高橋の豚みそ鍋で豆乳割りを呑みたくなり、極寒の中てくてくと酒の高橋へ向かいます。ところがお店は開いておらず。そういえば第3土曜日は定休、すっかり忘れてました。それではと引き返して向かったのはめいぼうです。W/Kさんが酒の高橋のあとにめいぼうに寄ったというお話を伺っており、いちど行ってみたいと思っていたのでした。

寒さで澄んだ空には月が光ってます。お店に入ると、6人ほど座れるカウンターと、その奥に細長いテーブル席。カウンター手前におひとり、先客の方がいらっしゃって、カウンターの中には恐らく70歳くらいのおかあさんが「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれます。先客の方が呑んでらっしゃるビール(中、450円)は赤星。ボクもビールをもらいます。

お通しの枝豆。冬でもビールに枝豆はいいものです。でもさすがにものすごい寒いこの日。壁に貼られている「煮込み」の短冊にビットが立ち、お値段が書かれてないのですが注文することに。カウンターの中の作成過程は全て見えるのですが、煮込みはパックのもの。豆腐を切って鍋に入れ、パックの煮込みをあけて鍋にかけ、刻みネギをたっぷりのせてくれます。そして、温泉宿などでよく活躍する固形燃料の入った台に乗せてくれて出てきました。

「これで火をつけて下さい」とチャッカマンを受け取り火をつけます。これはずっと温かくていいですね。レンゲで取り皿に取りつつ、一味をかけつついただきます。これが結構美味しい。量もたっぷり。温まります。そして鍋の煮込みも残り少なくなった頃、焼き物もいただきましょうということで頼んだのがハツとカシラを塩です。

割と大ぶりな串。なかなかグッドです。ビールも空いてしまい、次の飲み物は「焼酎お湯割り(梅干し入り)」(250円)にします。

箸で梅をつついてかき混ぜて。温まりますね。ちびちびとお湯割りを呑みながら、隣のお客さんとお話しします。すると何とこのお店、映画のロケに使われたとか。おかあさんがお店の奥から持ってきてくれたのが、「赤目四十八瀧心中未遂

壁にはイチローと松井のサインが。お隣さんによると、亡くなられたおかあさんのご主人が野球好きだったそうで、昔は巨人の大きな旗が壁に貼られていたとのこと。なるほど、ご主人が亡くなられておかあさんひとりで切り盛りするようになったのですね。そんな話をしていると、もうひとかた常連さんが入ってきました。カウンター奥に座るなり、シロを10本注文されます。そういえばお隣さんもたれで焼いてもらってますね。ボクも追加でシロをたれで2本お願いします。

あとからいらっしゃった常連さんは、豪快に串をわしわしと食べていきます。あっという間に10本、ぺろりと平らげて今度はカシラを10本。ボクがシロを食べている間に、さらに10本。すごい気持ちのいい食べっぷりですね。驚きつつシロを平らげ、お湯割りも呑み干しごちそうさまをします。1時間ちょっとの滞在で、お会計は1,600円でした。ということは、煮込みが500円か、お通し100円煮込み400円か、といったところですね。

恐らくご主人が健在だった頃は、串も煮込みも自家製だったと思います。この名店も後継者問題が解決せず。素晴らしい佇まいと雰囲気、歴史が染み込んだ建物を寂しい思いで拝みつつ、てくてくと帰宅したのでした。